「寺子屋まつだ」夏休み特別講座レポート

東名高速大井松田ICの近くにある、神奈川県足柄上郡松田町(まつだまち)。2014年から小中学校にタブレットを導入するなどICTでは先進的な自治体です。

教室ICT実践会では2018年7月25・26日の二日間、松田町にお邪魔して「寺子屋まつだ夏休み特別講座」を行いました。

「寺子屋まつだ」は学校、家庭、地域が連携・協働し、役割分担しながら、子どもたちにとってより豊かで有意義な土曜日を過ごしてほしいという願いで松田町教委が開催する小中学生向け学習講座です。カリキュラムも英会話あり、そろばんあり、ペン習字やコーラスありとバラエティに富んでいて、「おさらい先生」もタブレット講座として導入いただいています。

今回の特別講座はふだん受講してくれている寺子さんも、そうでない友だちも気軽に参加して、算数計算や国語読解を集中特訓して得意になるきっかけをつかんでくれればと思って企画しました。2時間×2日間という短い時間ではありますが、昨夏、鹿児島県肝属郡錦江町で実証実験をした時には小5・小6の児童たちが2時間×8日間で目覚ましい伸びを見せてくれました。「おさらい先生」は自分に今必要なレベルの問題だけを習熟するまで特訓できるため、短時間でもかなりの成果が見込めるからです。

「寺子屋まつだ」の子どもたちは、ふだんアプリ版で学習してくれているのですが、今回は厚木市で使われているのと同じ、ブラウザで動くタッチ版を使って学習してもらいます。参加者が14名と元からあるタブレット10台だけでは足りないため、実践会からの持ち込みプラス5台とペン入力性能などで不公平にならないようにするためです。

あいにく、学習部屋がWi-Fiの電波が届きにくいところに位置していたため、こちらも持ち込みのWi-Fiルーターをセットしました。


◆7/25水

13:00〜:あいさつ、インストラクション

最初に学習モチベーションを高めるため、インストラクションを行います。参加者の中には小6が8名いましたので、中学校に上がってからの「小学計算の重要性」をお話しました。中学数学は小学算数が出来ている前提で進むため、ここでしっかりやっておけば後々役に立つよ、という内容です。

また、「おさらい先生」の効果として「京都の中学生が算数をがんばったら数学も上がった例」「鹿児島の小6が短期集中でがんばったら伸びた例」を学習履歴のデータを交えて紹介しました。

そして、いつも講演などでお話する「反復は力なり」を、小学生向けにかみくだいてお話しました。ふだんテストで間違えても赤鉛筆で正解を書いて、いつしか忘れてしまいますが、それでは学力は定着しません。できないところをできるようになるまで繰り返していると、繰り返しの過程で少しずつ自分もレベルアップしているんだよ、ということを伝えたかったのです。

13:15〜視写プリント

まだ14台分の設定が終わっていなかったので、用意していた北海道立生涯学習推進センター様が公開している視写プリントで、10分でどれだけ写せるかをストップウォッチで時間を計ってチャレンジしてもらいました。目標は小4が240字、小6が360字です。できた子もいればできなかった子もいます。視写は国語の基礎力として非常に大事なので、作文の苦手な子はまずそれ以前の練習として視写を練習すると有効です。

13:25〜「おさらい先生(タッチ版)」の使い方紹介

「おさらい先生」のいちばん最初は「入力の練習」というチュートリアルなのですが、皆で一斉にやりました。分からないところやネットワークの不具合がないか、この間にチェックします。なにしろ持ち込んだWi-Fiルーターが家庭用のものなので、14人が同時接続して大丈夫なのか私たちも未体験だったからです。(「おさらい先生」自体の通信量はとても小さいので安心なのですが、ルーターの最大同時接続数が心配でした)

 

 

 

13:30〜:学習開始(算数1限目)

入力の練習の後は、学習開始です。ここからは「診断モード」で最適な学習スタート地点を診断するため、同じ教室でありながらも一人一人違う単元を個別学習することになります。一人一人バラバラの進度の子どもたちを生身の先生が管理しようとしたら大変ですが、「おさらい先生」なら自立学習なので、大人は教えなくても見守るだけで学習が進みます。ICTがもっとも力を発揮するベーシックな領域です。

13:50〜:10分休憩

ここで休憩……の予定でしたが、集中が続いている子どもたちは誰も休もうとしません。クーラーがきいているとはいえ、暑い日でしたので水分補給だけは呼びかけて、学習と学習の隙間に適宜休憩してもらうことにしました。

14:00〜:学習開始(算数2限目)

引き続き学習です。小4と小6が混ざっているので、それぞれ進み具合はバラバラです。どんどん先に進む子もいれば、足し算や引き算で詰まる子もいます。でもそれでいいのです。いちばん良くないのは「なんとなくできているつもり」で、基礎はなんとなくではなく100%できなくてはいけません。自分の苦手なところが分かれば、そこから一段一段階段を上っていけばいいのです。(というようなことをインストラクションでも話しています)

15:00〜:1日目終わり

あっという間に2時間がたって1日目が終了しました。参加してくれた子たちも、すごい集中力でがんばってくれました。


◆7/26木

13:00〜:学習開始(算数3限目)

昨日の続きです。最初に昨日のふりかえりをやろうと思いましたが、来るなり電源を入れて昨日の続きをやる子たちが続出したので、そのまま学習に入ってもらうことにしました。

診断モードが終わって個別学習の段階に入ると、自分の苦手なところを学習することになります。当然、間違えてやりなおしになることも増えてきます。ここが、最初にお話した「反復は力なり」が活きる状況です。とはいえ、人間ですから、何度も同じところを間違うとイヤになります。大人の役割はそんな時に子どもをはげますことです。

「惜しい、もう少しだったね!」

「あー残念!もう1回やってみよう?」

「やった、できたね!」

と教えるのではなく、子どもを見守ることがICTの力を最大限に引き出します。

13:50〜:10分休憩

この日も休憩は各自の判断でとってもらいましたが、子どもたちから「国語をやりたい!」という熱烈なリクエストの声が上がります。「おさらい先生」は算数計算と国語読解の二本立てなのですが、どちらかだけではなく、適宜ミックスして学習することをおすすめしています。今回はあらかじめ算数の苦手な子が多いことが分かっていたので算数優先で進めましたが、ちょうどいいタイミングなので希望者は国語をやってもらうことにします。

14:00〜:学習開始(算数4限目 or 国語1限目)

算数を続けたい子は続けてもらい、国語をやりたい子(10名ほど)に向けて「入力の練習」からレクチャーします。「おさらい先生」の算数は一問一答型なのですが、国語は全問回答してから採点と少し異なるため、注意します。

国語も算数と同じように「診断モード」があり、学習のスタート地点を判定することができます。ですが、今までの運用経験から、本文に書いてあることをよく読まないで問題をミスする、読解以前の「読む姿勢」が身についていない子が多いことが分かっており、そういう子たちには読まないと答えられない問題ばかりの「おさらい先生国語」のトレーニングは非常に有効です。

15:00〜:2日目終わり

最後に子どもたちにインタビューさせてもらいました。

「楽しかった。算数は難しかったけど」

「今まで算数が苦手だったけど、好きになった」

など嬉しい声が聞けて、私たちも心からやってよかったと思いました。

あっという間の二日間、短いとはいえ、松田町の子どもたちはとても集中してがんばってくれました。寺子屋まつだ自体は通年で実施されていて、またタブレットもここに来ればいつでも触れるので、学習を継続してもらえると嬉しいです。


タブレットはあるけど有効活用できていない……という自治体の方へ

自分たちでも寺子屋をやってみたいというご希望がありましたら、ぜひ一度お問い合わせください。「おさらい先生」はブラウザで動作するので、ネットワークがつながればすぐにお試しできます。自立学習なので先生ではない地域の大人でも教室は運営できます。